本日の目標

  1. この授業の全体像と進め方を理解する
  2. 「行動計量学」とは何かを概説できる
  3. データ分析においてRが果たす役割を説明できる

1. この授業について

授業の概要

  • 科目名:行動計量学
  • 講義題目:行動科学分析法入門
  • 担当教員:小野原 彩香
  • 授業形式:対面のみ(全15回)

授業の目標

この授業では,行動科学におけるデータ分析の基本的な考え方を理解し, 統計解析環境 R(RStudio) を用いて,実際にデータを読み込み, 整理し,基礎的な分析を実行できるようになることを目指します。

プログラミング経験ゼロでも大丈夫! 操作方法の習得から丁寧に進めます。

到達目標

# 目標
1 R(RStudio)の基本操作を習得し,自力で分析環境を構築できる
2 データの整形・加工・可視化(グラフ作成)を実行できる
3 基礎的な推測統計(t検定,分散分析,カイ二乗検定)をRで実行し,結果を解釈・報告できる

2. 授業の進め方

15回の構成

フェーズ 内容
導入 第1回 ガイダンス
環境構築 第2回 R・RStudioの導入
可視化 第3〜4回 ggplot2によるグラフ作成
加工 第5〜6回 dplyrによるデータ整形・集計
確認① 第7回 習熟度確認テスト(第1回)
推測統計 第8〜11回 相関・カイ二乗・t検定
確認② 第12回 習熟度確認テスト(第2回)
分散分析 第13〜14回 一元配置分散分析・多重比較
まとめ 第15回 習熟度確認テスト(第3回)

成績評価

  • 習熟度確認テスト(3回):90% RStudioを使ってデータを読み込み,グラフや統計分析を実行・解釈できるかを評価
  • 授業への参加姿勢(演習への取り組み):10%

出席点数化はしません。演習に積極的に取り組むことが大切です。

教科書・参考書

【教科書】 柳川浩三(2023).『Rによる教育・言語・心理系のためのデータサイエンス入門』オーム社. ISBN: 978-4-274-23102-5

【参考書】 松村優哉・湯谷啓明・紀ノ定保礼・前田和寛(2021). 『RユーザのためのRStudio[実践]入門 ― tidyverseによるモダンな分析フローの世界 ― 改訂2版』技術評論社. ISBN: 978-4-297-12170-9


3. 行動計量学とは何か

「行動計量学」の定義

行動計量学(Behavioral Metrics / Psychometrics)とは, 人間の行動・心理・態度・能力などを,数量的・統計的手法によって 測定・分析・モデル化する学問領域である。

主な研究領域

  • 心理測定法:テスト理論,IRT(項目反応理論)
  • 多変量解析:因子分析,クラスター分析,共分散構造分析
  • 実験データ分析:t検定,分散分析
  • 調査データ分析:カイ二乗検定,回帰分析

行動科学とデータ分析の接点

行動科学の問い
  「この授業スタイルは学習効果に影響するか?」
       ↓
  データを集める(実験・調査・観察)
       ↓
  データを整理・可視化する
       ↓
  統計的手法で検証する
       ↓
  解釈・報告する

この一連のプロセスを R で実行できるようになるのがこの授業の目標です。


4. なぜR(とRStudio)なのか

Rの特徴

特徴 説明
無料・オープンソース 誰でも使える
統計に特化 標準関数が豊富
パッケージ ggplot2・dplyrなど強力な拡張機能
再現可能な分析 スクリプトとして保存・共有できる
コミュニティ 世界中の研究者・データサイエンティストが使用

データ分析のツール比較

ツール 特徴 行動科学での利用
Excel 直感的・手軽 記述統計・簡単なグラフ
SPSS GUIで統計分析 心理学で広く普及
R 柔軟・高機能・無料 研究・教育で急速に普及
Python 汎用・機械学習に強い データサイエンス全般

RStudioとは

Rを使いやすくするための統合開発環境(IDE)です。

RStudio の4つのペイン
┌─────────────────┬─────────────────┐
│  スクリプト       │  環境・履歴      │
│  (コードを書く) │ (変数を確認)   │
├─────────────────┼─────────────────┤
│  コンソール       │  ファイル・プロット│
│ (実行結果が出る)│ (グラフが表示)  │
└─────────────────┴─────────────────┘

5. データ分析の全体像:本授業で学ぶこと

# この授業で扱うパッケージ(第2回以降でインストール)
library(tidyverse)   # ggplot2 + dplyr などをまとめて読み込む
library(ggplot2)     # データ可視化
library(dplyr)       # データ加工

tidyverseとは

この授業で中心的に使う tidyverse は,データ分析に必要な複数のパッケージをまとめたコレクションです。

パッケージ 役割
ggplot2 グラフ・可視化
dplyr データの整形・加工
tidyr データの整列
readr データの読み込み

6. 今後の準備

次回(第2回)までにやること

  1. PCの確認:Rのインストールが可能か確認する
    • Windows / Mac 両方に対応
    • インストールは次回の授業で一緒に行います
  2. 教科書を入手する:可能であれば第1〜2章に目を通しておく

Rのインストールに不安がある人は事前に相談してください。


本日のまとめ

  • 行動計量学は,行動・心理を数量的に分析する学問
  • この授業では R(RStudio) を使ったデータ分析の基本を習得する
  • 15回の授業は「可視化 → 加工 → 推測統計」の順で進む
  • 評価は習熟度確認テスト(3回,計90%)が中心

宿題・予習

  • 次回は RとRStudioのインストール を行います
  • PCを必ず持参してください
  • 教科書の第1章(R入門の概説部分)に目を通しておくと理解が深まります
  • 準備学習・復習を含め,1回あたり4時間程度の学習を想定しています