支持率の報道にある「誤差 ±3.1%」は 標本誤差だけ
質問文が誘導的だったこと、答えなかった人の偏り、記入ミス、コーディングの揺れ
→ あの ±3.1% に一切含まれていない
むしろ調査員が増え、入力作業が増えるので、増える方向に働くことがある
第10回の Literary Digest(1936年)は236万人から回答を得て、それでも外した
→ 数が足りなかったのではなく、非標本誤差(選ばれ方の偏り)で外した
ここまで扱った質問文の問題は、発生源のひとつにすぎない
| 工程 | どこで誤差が入るか | どこで扱うか |
|---|---|---|
| ① 計画 | 調べるべき項目を落とす | この後 |
| ② 対象の選び方 | カバレッジ/選択バイアス/無回答 | 第10回 |
| ③ 調査票の作り方 | 質問文・選択肢・順序・構成 | 今日の前半 |
| ④ 実査 | 調査員による差、回答者の偽り | この後 |
| ⑤ 記入・回収 | 記入ミス、読み取りミス | この後 |
| ⑥ コーディング | 自由回答を分類するときの揺れ | この後 |
| ⑦ 集計・公表 | 調査機関の中立性、都合のよい切り出し | 第5回・第8回 |
集め終わってから「あの項目も聞いておけばよかった」と気づく
→ 後からどうにもならない
通学時間を聞いたが、通学手段を聞き忘れた。
「通学時間が長い学生は授業の満足度が低い」という結果が出たが、
徒歩20分と電車20分を区別できないので、何が効いているのか言えない
書けなければ、聞くべき項目が足りていない
同じ質問文でも、読み上げ方・補足の言い方・表情が人によって違う
複数人で分担すると、担当した調査員ごとに結果が違うことがある(調査員効果)
| 調査票に書かれていたこと | ありうる解釈 |
|---|---|
| 性別「男」/職業「主婦」 | 入力ミスか? それとも 男性の家事従業者 か? |
| 氏名「佐藤 三雄」/性別「女性」 | チェックのミスか? それとも 「みお」と読む女性 か? |
「ミスだろう」と判断して直せば、本当のデータを壊す
「主婦は女性」「三雄は男性」という前提は、調査する側が持ち込んだもの
第2回「史料に書かれていることと、それが事実であることは別に扱う」と同じ構え
コーディング=自由回答や職業などを、あらかじめ決めたカテゴリに分類して符号を与える作業
「バイトでコンビニの店番をしています」は
「販売従事者」か「サービス職業従事者」か?
同じ回答でも、分類する人によって別のカテゴリに入ることがある
第5回「2次データを使う前に確認する4点」の ③調査主体 がこれ
非標本誤差をゼロにする方法はない。できるのは2つだけ
第3回の課題で「改善しても残る限界」を書かせたのと同じ
プリテスト(pilot study):本調査の前に小規模で試験的に実施する調査
「プリテストをしない調査は、翻訳を確認しない翻訳と同じだ」(Fowler, 2014)
「消費者意識に関する基本調査」(内閣府消費者庁)
以下の質問文について、問題点を指摘し、改善案を提示してください(グループ討議 10分)。
問1.
「最近、環境問題への関心が高まっているなか、あなたはゴミの分別をきちんと行っていますか?」
問2.
「あなたはどのくらいの頻度で運動をしますか?また、食事制限はしていますか?」
問3.
「この授業はわかりやすくなかったとは言えないと思いますか?」
それぞれ何が問題で、どう書き直せば良いかをグループでまとめてください。
課題:アンケート調査票の設計
あなたが関心を持つ社会的テーマを一つ選び、そのテーマについてアンケート調査票の骨格を設計してください。以下の要件を満たすこと。
3を書く前に:「この5問の結果が出たら、自分は何を言えるのか」を1文で書いてみること。
書けなければ、聞くべき項目が足りていません(=①計画の不備)。
提出字数:300〜500字程度(質問文の記述を含む)
提出期限:次回授業開始前
インタビュー調査の方法と調査例
事前準備:自分が調査したいと思うテーマについて、誰にインタビューしたいかを考えてきてください。