統計学Ⅰ(B)2026 第3回

第3回 ばらつきを測る

正規分布という「仮定」

統計学Ⅰ(B) 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅰ(B)2026 第3回

今日のゴール

  1. 分散・標準偏差が何を測っているか
  2. 偏差値の正体
  3. 正規分布の 68-95-99.7 則 と、「正規だと仮定してよいか」の確かめ方

到達目標 G1(記述統計)

統計学Ⅰ(B)2026 第3回

クイズ:2つの森、どちらも平均6.0kg

同じような群れ?

統計学Ⅰ(B)2026 第3回

平均だけでは分からない

  • 森A:ほとんどが6kg前後(SD ≈ 0)
  • 森B:半分2kg・半分10kg(SD ≈ 4.1)

平均は分布の 「位置」 しか表さない。
足りないのは 「散らばり」=ばらつき

統計学Ⅰ(B)2026 第3回

ばらつきの測り方

  1. 各データの 平均からの差(偏差)
  2. プラスマイナスが打ち消す → 二乗して平均分散
  3. 単位が日²で読めない → ルートで戻す標準偏差(SD)
妊娠期間日
平均 164.4 日
分散 1,427.2(日²)
標準偏差 37.8 日 ← これを使う
統計学Ⅰ(B)2026 第3回

偏差値の正体

偏差値=50+10×平均標準偏差偏差値 = 50 + 10 \times \frac{値 - 平均}{標準偏差}

平均50・SD10 に置き直した 相対位置

生スケール 対数スケール
ネズミキツネザル 31g 45.5 23.2
ニホンザル 10kg 53.2 59.9
ヒガシゴリラ 149kg 159.2 77.1

同じ80点でも、集団のSDが違えば偏差値は変わる

統計学Ⅰ(B)2026 第3回

正規分布と 68-95-99.7 則

範囲 理論 対数体重 生の体重
±1SD 68% 71.7% 97.4%
±2SD 95% 94.7% 97.4%
±3SD 99.7% 100.0% 98.5%
統計学Ⅰ(B)2026 第3回

でも、すべてが正規ではない

生の体重の歪度 +7.60(対数なら −0.40)。正規曲線がまるで合わない。

しかも 平均−1SD = −7,254g。体重がマイナスの動物はいない。

統計学Ⅰ(B)2026 第3回

「正規だと仮定する」は判断

自然法則ではない

  • 68-95-99.7則も、後で習う多くの手法も「正規」前提
  • 歪んだデータに当てると間違った結論
  • 鉄則:まずヒストグラムで形を見る
統計学Ⅰ(B)2026 第3回

まとめ

平均は「位置」、SDは「幅」

両方見て初めてデータが分かる

正規分布は便利な仮定 ―― 当てはまるかは自分で確かめる

次回:Python統計処理入門(自分でコードを書く)