統計学Ⅰ(B)2026 第6回

第6回 確率分布と標本

中心極限定理 ―― なぜ一部で全体が分かる

統計学Ⅰ(B) 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

フック:なぜ「一部」で「全体」?

  • 視聴率は全国数千万世帯のうち数百世帯だけ調べる
  • 味噌汁の味見はひと匙で分かる

なぜ一部で全体を語れる?

その裏づけ=中心極限定理

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

母集団と標本

  • 母集団:知りたい全体
  • 標本:実際に調べる一部

母集団 μ=619 / σ=284 / 歪度0.91(正規でない

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

標本平均を2000回くりかえすと…

母集団は歪んでいた。標本平均(n=30)の分布は?

  • 標本平均の平均 ≈ 617(母平均619にほぼ一致)
  • ばらつき SD ≈ 52
  • 歪度 0.91 → 0.20(正規に近づいた!)

=中心極限定理(CLT)

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

n を増やすと「締まる」

標準誤差 SE=σn標準誤差\ SE = \frac{\sigma}{\sqrt{n}}

n を4倍 → SE は半分(精度2倍に4倍のデータ)

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

「標本」≠「標本平均の分布」

正規に近づくのは標本平均の分布。標本そのものは歪んだまま。

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

ただし「無作為」が大前提

  • 「声の大きい人」ばかり選ぶ → 数を増やしても偏ったまま
  • 空気を読んで答えをそろえる → 独立性が壊れる

数の多さは、偏りを直さない

「たくさん集めた」≠「正しく集めた」

統計学Ⅰ(B)2026 第6回

まとめ

標本平均はCLTで正規分布に従う

だから一部から全体を語れる

ただし無作為抽出が大前提

次回:点推定と区間推定/信頼区間95%の本当の意味