統計学Ⅰ(B)2026 第8回

第8回 仮説検定(1)

帰無仮説とt検定 ―― 「差がある」とは

統計学Ⅰ(B) 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅰ(B)2026 第8回

フック

保護区の中の群れは、外より
平均体重が0.2kg重かった


効果? それとも偶然?

0.2kgは大きい?小さい? 直感では決められない

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帰無仮説 ―― 背理法

  1. まず「差はない(偶然)」と仮定(=帰無仮説)
  2. その仮定で「観測の差が出る確率」を計算(=p値
  3. p値が小さい → 「差はない」が間違い → 有意差あり

「差がある」=「偶然では説明しにくい」の言い換え

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t検定(明確な差の例)

体重の中央値:オナガザル科(旧世界)7,226g vs オマキザル科(新世界)492g

t, p = stats.ttest_ind(旧世界, 新世界)

t = −23.3、p ≈ 0.00000…(10⁻⁷¹)

偶然ではまず起きない差 → 有意差あり

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❌ p値の3つの誤解

  • ❌ p値は「帰無仮説が正しい確率」ではない
  • ❌ p値は「効果の大きさ」ではない
  • ❌ 「有意(p<0.05)=重要」ではない

次のシミュレーションで体感する

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p値の脆さ:同じ差でも n で変わる

真の差は0.2kgで固定。n を増やすだけで「有意」を作れる

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効果量で「大きさ」を測る

比較 効果量 d
旧世界 vs 新世界(体重) 4.40 けた外れ
勉強法(58 vs 60) 0.18

有意 ≠ 効果が大きい

p値と一緒に必ず効果量も見る

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2種類の誤り

本当は差なし 本当は差あり
「差あり」判定 偽陽性(第一種) 正解
「差なし」判定 正解 見逃し(第二種)

α=0.05 = 偽陽性を5%まで許す基準
→ 有意でも20回に1回は偶然かも(→第9回)

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まとめ

「差がある」=「偶然では説明しにくい」

p値の小ささ ≠ 効果の大きさ

必ず効果量も見る

次回:分散分析(ANOVA)/検定を繰り返す罠