統計学Ⅰ(B)2026 第10回

第10回 回帰分析

単回帰と重回帰 ―― データを数式で説明する

統計学Ⅰ(B) 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅰ(B)2026 第10回

フック

栄養段階(草食/雑食)で行動圏を予測できる?」

直線を引いてみると… R² ≈ 0
R²=0.0001。まったく説明できない


では 体重 なら?

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単回帰:体重 → 行動圏(両対数)

log(行動圏)3.883+0.933×log(体重)\log(\text{行動圏}) \approx -3.883 + 0.933 \times \log(\text{体重})

傾き0.933=体重10倍で行動圏8.6倍 / R²=0.462(n=153種)

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回帰の言葉

  • 傾き(回帰係数):xが1増えると予測がいくつ増えるか
  • 切片:x=0のときの予測値
  • R²(決定係数):ばらつきのうち説明できた割合(0〜1)

⚠️ 係数 ≠ 因果

「体重10倍で行動圏8.6倍」は予測上の関連。因果の保証ではない

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重回帰:複数の変数で

log行動圏3.36+0.568log体重+0.828log集団サイズ\log行動圏 \approx -3.36 + 0.568\,\log体重 + 0.828\,\log集団サイズ

各係数=「他を一定にしたとき」の関連(統制)
SNSの−0.8 = 勉強・睡眠が同じ人で比べたSNSの効果

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R²の罠:足せば必ず上がる

でたらめな乱数を50本足すだけで R² 0.46→0.67

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R²が高い ≠ 良いモデル

中身がゴミでも、変数を足せばR²は盛れる


=過学習の入り口

手元に合わせすぎ → 未来は当たらない
「当てはまり」vs「複雑さ」をどう釣り合わせる? → 次回AIC

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他の罠:外挿と残差

  • 外挿:1トンの霊長類を入れると 52km²。エラーは出ないが、そんな種はいない
    → データ範囲の外は予測できない
  • 残差(実際−予測)は必ずプロット。偏りがないか見る
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まとめ

モデルは現実の近似

当てはまりの良さ ≠ 良いモデル

係数を因果と読まず、範囲外を予測せず、残差を見る

次回:モデル選択とAIC(オッカムの剃刀)