統計学Ⅰ(B)2026 第12回

第12回 ベイズ統計の入り口

データで「信念」を更新する

統計学Ⅰ(B) 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅰ(B)2026 第12回

フック:99%正確な検査で陽性

病気の人の99%が陽性、健康な人の99%が陰性。
あなたは陽性。本当に病気の確率は?


直感:99% もうダメだ…

本当に?

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1万人で考える(有病率1%)

陽性198人のうち本当に病気は99人 → 50%!

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なぜ直感は外れた?

病気の人は元々少ない(1%)
→ 健康なのに偶然陽性(偽陽性)が同じくらい出る


事前の情報(有病率)を無視したから

それを取り込むのがベイズ

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ベイズの3要素

P(病気陽性)事後=P(陽性病気)尤度P(病気)事前P(陽性)\underbrace{P(\text{病気}\mid\text{陽性})}_{\text{事後}} = \frac{\overbrace{P(\text{陽性}\mid\text{病気})}^{\text{尤度}}\,\overbrace{P(\text{病気})}^{\text{事前}}}{P(\text{陽性})}

事前(検査前の信念)× データ → 事後(更新後の信念)

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頻度論 vs ベイズ

頻度論 ベイズ
確率 長期的な頻度 信念の度合い
パラメータ 固定の定数 確率分布を持つ
95%区間 信頼区間 信用区間(真値が入る確率95%と言える)

優劣ではなく世界観の違い

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ベイズ更新を見る(θ=表の確率)

データが増えるほど信念は真値0.7に締まる(幅0.95→0.17)

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「事前は主観で非科学」?

同じ100回(表75)を正反対の事前を持つ2人が見ると…

事前 事前平均 事後平均
懐疑的 Beta(2,8) 0.20 0.70
楽観的 Beta(8,2) 0.80 0.75

データが増えれば事前の影響は薄まる → 事前は「出発点」

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まとめ

ベイズ=データで信念を更新する枠組み

頻度論と優劣ではなく世界観が違う

事前情報を無視すると直感は外れる(検査50%)

次回:多変量解析(PCA) ―― 次元を削減して本質を見る