統計学Ⅱ 2026 第2回

第2回 確率論の基礎(1)

条件付き確率 ―― そして「独立」を定義する

統計学Ⅱ 2026後期 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅱ 2026 第2回

今日のゴール

  1. 条件付き確率 :情報を得ると確率は更新される
  2. 今期の主役 「独立」 を定義する:
  3. 「独立」と「排反」を混同しない
  4. この授業が「独立を仮定した基本形」から入ることを知る
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第1回の復習

ここから今日につながる

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第1回で確認した3つ

  1. 統計学Ⅰ は、手元のデータを 要約 する道具だった
    (代表値・ばらつき・相関)
  2. 統計学Ⅱ は、その要約から
    「まだ見ていない対象についてどこまで言えるか」 を問う
  3. 今期を貫く糸は 独立性
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「独立」が効く場所は、回ごとに違う

対象 独立性との関係
二項分布(第4回) 独立を仮定している
正規分布(第5回) 分布の形の話。独立性とは別
中心極限定理(第6回) 入門版は独立同分布を仮定。依存を許す版もある
区間推定(第7回) 平均は偏らない。問題は精度の見積もり

「独立でないとお手上げ」ではない
独立を仮定した計算を、依存のあるデータに当てると危ない

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だから今日やること

第1回では「独立性が糸になる」と 予告しただけ
―― 独立そのものはまだ定義していない


独立の定義には 条件付き確率 が要る。だから順番は

  1. 条件付き確率 を定義する
  2. それを使って 独立 を定義する
  3. 「独立」と「排反」を区別する
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直感クイズ

2人の子ども問題

まず予想を決めてください

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2人の子ども問題

子どもが2人。男女は半々・独立に決まる。
「少なくとも1人は女の子」 だと分かっている。


2人とも女の子の確率は?

「もう1人が女か男か、だから 1/2」?

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答え:1/2 ではなく 1/3

上 下 「少なくとも1人女」
男 男 ✗ 消える
男 女 ✓
女 男 ✓
女 女 ✓ ← 2人とも女

「少なくとも1人女」で (男,男) が消える → 残り3通り中1通り
確率が に 更新 された

→ Colab で10万世帯:≈ 0.333

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条件付き確率とは

「 の世界に絞り込み、その中で が占める割合」


情報を得る = 標本空間を絞り込む = 確率を更新する
(第3回ベイズへ続く)

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式の読み方

「ビー のもとでの エー の確率は、
エーかつビー の確率を ビー の確率で割ったもの」

記号 読み
「 かつ 」=両方起きる
縦棒の右が条件、左が知りたいこと
分母 絞り込んだあとの舞台ぜんたい

コツ:縦棒を見たら右から読む。 英語なら " given "

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読み間違いに注意

✗ こう読む 実際はどの式か
「 と の確率」 それは (割り算が入らない)
「 のあとに が起きる確率」 時間の順番ではない。向きも逆
「 または の確率」 それは

縦棒は 割り算の記号ではない ―― とは書かない

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今期の主役 ―― 「独立」

と が 独立 = を知っても の確率が変わらない

例 判定
コイン2回(A=2投目表, B=1投目表) 独立
トランプ2枚・戻さず(♥, ♥) 従属

ハートを1枚引くと山札が減る → 確率が変わる=従属
表の値は理論値。Colabの実測では有限回のばらつきが出る(例:0.500 と 0.499)

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なぜ「独立」が主役なのか

この授業は、独立を仮定した基本形から入る:

  • 第4回 二項分布:独立な試行 回
  • 第5回 正規分布:独立な要因の和(の近似)
  • 第6回 中心極限定理:独立な標本の平均
  • 第7回 区間推定:独立を仮定して誤差の幅を出す

→ 第12〜13回、「空気を読む」と独立の仮定が崩れ、多数決の保証がそのまま使えなくなる

**「独立でなければ統計が使えない」ではない。**依存を組み込めば推定はできる

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注意:「独立」≠「排反」

サイコロ:=偶数, =3の目

  • 排反:同時に起きない(3は偶数でない)
  • でも 独立ではない: が に変わる

排反=重ならない/独立=知っても確率が変わらない。 別物!
Colab:P(偶数 | 3が出た) = 0.000

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今日のまとめ

概念 式
条件付き確率
独立
排反(≠独立)

独立とは「一方を知っても、もう一方の確率が変わらない」という確率の関係
(「影響し合わない」という因果の話ではない)
→ これが今期ずっと効いてくる

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今日の課題

条件付き確率の計算(自動採点)

+「独立でない身近な例」(記述)

次回:ベイズの定理の深掘り

「99%正確な検査で陽性。本当に病気?」 ―― 99%とは限らない

検査の性能と、その集団でのもともとの病気の割合で変わる