統計学Ⅱ 2026 第3回

第3回 確率論の基礎(2)

ベイズの定理 ―― データで信念を更新する

統計学Ⅱ 2026後期 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅱ 2026 第3回

今日のゴール

  1. ベイズの定理
  2. 事前・尤度・事後の役割
  3. 基準率の誤謬陽性的中率
  4. 逐次更新(今日の事後=明日の事前)=学習
統計学Ⅱ 2026 第3回

直感クイズ

検査が陽性、あなたは病気か?

統計学Ⅱ 2026 第3回

クイズ

検査の性能:

  • 感度 = 99%
  • 特異度 = 99%

病気は 100人に1人(有病率1%)。あなたは 陽性


本当に病気の確率は?

「99%の精度だから99%」?

統計学Ⅱ 2026 第3回

答え:99%ではなく 約50%

100万人を検査すると…

人数 うち陽性
病気(1%) 10,000 9,900 真陽性
健康(99%) 990,000 9,900 偽陽性

病気が稀 → 偽陽性が真陽性と同じだけ出る

統計学Ⅱ 2026 第3回

最重要:条件付き確率の「向き」

直感は取り違える:


第2回の そのもの
検査の精度陽性的中率 は別の数字

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ベイズの定理

要素 検査の例
事前 有病率 1%
尤度 感度 99%
事後 陽性的中率 50%

データで信念を更新する計算

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基準率を動かすと激変する

有病率 陽性的中率
0.1% 9.0%
1% 50.0%
10% 91.7%
50% 99.0%

検査の性能は同じ。 珍しい病気ほど的中率は低い

基準率の誤謬(base rate fallacy)
迷惑メール判定・顔認証・不正検知…全部同じ罠

統計学Ⅱ 2026 第3回

逐次更新 = 学習

今日の事後を、明日の事前として使う

  • 真の のコインを投げ続ける
  • 事前 → 観測 → 事後

回数が増えるほど、信念は 0.7 の周りに締まる
= データを積めば正しい方へ更新される

統計学Ⅱ 2026 第3回

独立性との関わり

ベイズ更新が健全に働くには ―― 独立で多様な情報 が要る


第12〜13回:みんなが互いを真似て同じ情報ばかり見ると、
集団の信念が間違った方向に固まる(情報カスケード)

ここでも独立性が効いてくる

統計学Ⅱ 2026 第3回

今日の課題

陽性的中率の計算(自動採点)

+「なぜ基準率を無視する/ベイズ更新とは」(記述)

次回:二項分布・ポアソン分布

「10回投げて7回表。イカサマ?」独立試行 n 回の分布