統計学Ⅱ 2026 第10回

第10回 因果推論入門

RCTと観察研究 ―― 効いた? もともと?

統計学Ⅱ 2026後期 北星学園大学
小野原 彩香

統計学Ⅱ 2026 第10回

今日のゴール

  1. 因果=反事実(した世界 vs しない世界)の比較
  2. 交絡が観察データで見せかけの効果を作る
  3. RCT=ランダム化で処置を交絡から独立
  4. 観察研究の限界(交絡・選択バイアス)
統計学Ⅱ 2026 第10回

直感クイズ

サプリを飲む人は健康だった

サプリのおかげ?

統計学Ⅱ 2026 第10回

交絡という隠れた要因

サプリを自分から飲む人は、
そもそも 健康志向が高い のでは?


健康なのはサプリのおかげ?
それとも もともとそういう人が飲んでいるだけ

交絡=原因候補と結果の両方に影響する隠れ要因

統計学Ⅱ 2026 第10回

シミュレーション:効果ゼロの世界

設定:サプリの効果は0。健康を決めるのは健康志向だけ

本当の効果 0
観察「飲んだ−飲まない」の差 +9.4

効果ゼロなのに、飲んだ人は健康に見える
← 健康志向が偏る(飲+0.58 / 非−0.61)

統計学Ⅱ 2026 第10回

RCT:くじ引きで割り当てる

本人の健康志向と無関係に割当 → 2群がそろう

飲む群の志向 飲まない群 推定効果
観察 +0.58 −0.61 +9.4(捏造)
RCT ≈0 ≈0 +0.5(≈真値0)

ランダム化=処置を交絡から独立に

統計学Ⅱ 2026 第10回

今期の糸がここでも

第6〜7回:独立が崩れると推測が壊れる
第10回:独立を作り出すと因果が取り出せる


ランダム化は「処置と交絡の独立」を人工的に作る操作
独立は、壊れると困るだけでなく、作れれば武器

統計学Ⅱ 2026 第10回

観察研究はダメ? → 注意して使う

RCTが無理な場面も多い(喫煙20年をくじ引き? 不可能)

  • 観察研究:交絡を疑い調整する(→第11回)
  • 選択バイアス:対象の集め方の偏り
  • 盲検・プラセボ:「飲んでる意識」の影響を消す

「Xした人はYだった」→「くじで決めた? 本人が選んだ?」

統計学Ⅱ 2026 第10回

今日の課題

因果と言えるかの判断(自動採点)

+「RCTか観察か/なぜか」(記述)

次回:交絡と疑似相関

アイスと水難事故、シンプソンのパラドックス