コンテンツにスキップ

【第8回 余談】Webって何でできてる? — アンケートの裏側

※これは第8回「アンケート設計」の本題に入る前(または後)の 5分程度の余談 です。 操作の話ではなく、「皆さんが毎日使っている Web の正体」を概念として知る話です。


なぜ今この話を?

これから皆さんは、アンケートを Google フォームMicrosoft フォーム で作るかもしれません。 これらは全部「Webアプリ」、つまり Web ページの一種です。

「アンケートを作る」前に、そもそも Web とは何か、Web ページの正体は何か を少しだけ知っておくと、世界の見え方が変わります。


1. WWW(World Wide Web)とは

  • インターネット上に置かれた、互いにリンクでつながった文書の集まり
  • 「Web(クモの巣)」という名前は、リンクが網目状につながっている様子から
  • あなたが見ている画面は、世界のどこかのサーバーにある文書を、ブラウザが取り寄せて表示しているだけ
あなたのブラウザ  ──「このページちょうだい」──→  サーバー
あなたのブラウザ  ←──「はい、これです」(HTML)──  サーバー

2. Web ページの正体は「HTML」

Web ページは、見た目は華やかでも、中身はただの構造化されたテキスト(文字) です。 それが HTML(HyperText Markup Language)

例えば、こんな文章があるとします:

私の好きな食べ物 ・ラーメン ・寿司

これを HTML で書くと:

<h2>私の好きな食べ物</h2>
<ul>
  <li>ラーメン</li>
  <li>寿司</li>
</ul>
  • <h2> = 見出し(heading)
  • <ul> = 箇条書きリスト(unordered list)
  • <li> = リストの項目(list item)

第4回でやった「Word の見出し・段落」と同じ「構造化」の考え方が、Web の世界にもあります。タグで「ここは見出し」「ここはリスト」と意味づけしているだけ。

自分で確かめてみよう

  • どんな Web ページでも、右クリック →「ページのソースを表示」で、その HTML が見られます
  • 「華やかなページも、中身はタグ付きのテキスト」を体感できます

2.5 なぜ「中身と見た目が分かれている」と強いのか(種まき)

Web が軽くて速くて、しかも AI と相性がいい のには理由があります。 中身(テキスト=HTML)と見た目(飾り付け=CSS)が、別々に分かれているからです。

分かれていると、こんないいことがあります:

  • 軽い・速い:中身はただの文字なので、データが小さい
  • 誰がどこを変えたか追える:文字の変更なので「差分」が見える(プログラマが使う Git の発想)
  • AI が読みやすい・直しやすい:AI に「ここ直して」と頼みやすい。 「大量のファイルを AI に一気に読ませて理解させる」みたいな芸当ができるのも、中身がプレーンな文字だから

逆に、Word / Excel / PowerPoint は…

.docx.pptx は、中身(データ)と見た目(レイアウト)が1つのファイルにガッチリ固められています。

Web(HTML+CSS) Office(.docx / .xlsx / .pptx)
中身と見た目 分かれている 固まっている(密結合)
AIとの相性 読みやすい・直しやすい 渡しにくい・直しにくい
変更の差分 追える 追いにくい
その結果 1ファイルで管理 「資料_最終_修正2_本当に最終.docx」が増殖

最後の行、心当たりありませんか? あれは皆さんがだらしないのではなく、 「中身と見た目が固まっていて、差分が追えない」というファイルの仕組みが生む現象です。

⚖️ ただし「固まっている」のは欠点だけではない

公平に言うと、Office の「見たまま作れる(中身と見た目が一体)」は 長所でもあります

  • 図やレイアウトを視覚的に直感でいじれる
  • プログラムを知らない人ともそのまま共有できる

だから「Office はダメ、Markdown が正義」ではありません。場面による選択です。 速く確実に・AI と組んで・後から自動化したいなら「分けておく」方が強い。 見た目を直感でいじりたい・非技術者と共有したいなら Office が便利。

今日からの Excel に向けて、一つだけ

これから皆さんは Excel を学びます。それは必要なスキルです。 でも頭の隅に、「データと見た目は、分けて持っておくこともできる」 という発想だけ置いておいてください。

データをプレーンな形(テキスト・CSV・コード)で持っておくと、 特定の会社の製品に縛られず、AI とも組みやすい。これが、道具に振り回されない一番の防御です。

この続き(「操作=GUI」と「プレーンテキスト=CLI」の話)は、後の回でもう少し詳しく扱います。


3. アンケートフォームも HTML

Google フォームや Microsoft フォームの「ラジオボタン」「チェックボックス」「自由記述欄」—— これらも全部 HTML の部品です。

<input type="radio"> 選択肢A
<input type="checkbox"> チェック項目
<textarea></textarea> 自由記述

→ 皆さんがフォームを作るとき、裏側ではこういう HTML が自動生成されています。 「フォームを作る」=「HTML を書かずに、HTML を作っている」 ということ。


3.5 今日使う Colab も「Web アプリ」

今日、皆さんが開いている Google Colab(コラボ)も、実は Web の上で動いています。 ここまでの話が、今まさに目の前で起きている例です。

👉 今日の Colab 演習ノートを開く

Colab とは何か

  • ブラウザの中で Python を動かせるサービス(Google が提供)
  • 自分のPCに何もインストールしなくていい
  • 計算は Google のサーバー上で行われ、結果がブラウザに返ってくる
あなたのブラウザ(Colab画面)
   │  「このコードを実行して」
Google のサーバー(Python が動く場所)
   │  計算する
あなたのブラウザに結果が返る

→ 第6回で「大きなExcelファイルが自分のPCだと重い、ブラウザ(クラウド)だと開ける」 という話をしましたが、Colab はまさに「計算をクラウドに任せる」仕組みです。 皆さんのPCの性能に関係なく、同じように動きます。

なぜ Colab を使うのか

  • アンケートの回答(Google フォーム → スプレッドシート)を、 そのまま Python で読み込んで分析できる
  • 「フォームで集める(Web)」→「Colabで読む(Web)」→「分析する」が、 全部ブラウザの中で完結する
  • インストール不要なので、BYOD(自分のPC)でも環境の違いに悩まされない

これも「操作」より「概念」

Colab の使い方(セルの実行ボタンの押し方など)を覚える必要はありません。 大事なのは、「ブラウザの中で、クラウドの計算力を借りて、データを扱える」 という仕組みを知っていることです。


4. 検索の仕組み(おまけ)

  • 検索エンジン(Google等)は、世界中の Web ページを巡回して索引(インデックス)を作っている
  • あなたが検索すると、その索引から「関連しそうな順」に並べて返す
  • 「上に出る = 正しい・信頼できる」ではない(広告や SEO 対策で順位は操作される)

5. AI 時代の「調べる」

ここ数年で、「調べる」のやり方が変わりつつあります。

Google で検索 → リンクを開く → 自分で読んで判断 ChatGPT に質問 → AIが要約して答える
情報源(誰が書いたか)が見える 情報源が見えにくい(AIが混ぜて答える)
自分で信頼性を判断 AIの答えが正しいか、自分で検証する必要

アンケートを設計する前に「そのことは、もう誰かが調べているかも」と検索/AIで確認するのも大事なリテラシーです(一次データ・二次データの話)。


アンケート設計への接続

今日の本題(アンケート設計)に戻ると:

  1. 自分のテーマは、既に世の中にデータがあるか?(検索・AIで確認)
  2. それでも自分で調べたいことを、フォーム(=Webの仕組み)で集める
  3. 集めたデータを、次回以降 Excel で整理・分析する

「Web の正体を知る → フォームで自分のデータを作る → データを分析する」という流れの中に、皆さんは今います。


関連リンク・復習教材


本資料の作成について

本資料は、担当教員(小野原)が生成AI「Claude」(Anthropic社)と協働して作成しました(2026年)。内容は教員が確認しています。誤りや違和感があればご指摘ください。